労働者階級の反乱・地べたから見た英国EU離脱(ブレイディみかこ・光文社新書)という本が面白かったので感想などを書きます。
著者のブレイディさんはイギリスの労働者階級の人が多い地域に住んでいます。
イギリスがEUを離脱するかどうかを決める選挙のとき、ブレイディさんは残留に、ブレイディさんの周囲の人たちの多くは離脱に投票したそうです。
労働者階級の人の多くが離脱に票を入れました。
そして離脱派が選挙に勝つと世界中のマスコミに批判されました。日本のマスコミも批判しました。
なぜ離脱派が勝ったのか、という疑問からブレイディさんがイギリスのEU離脱について詳しく調べた結果がこの本です。
労働者階級の人たちがEU離脱を支持した理由について詳しく解説されています。
政府が大規模な緊縮政策をやって公共サービスや福祉を縮小させたこと。
だいぶ前から不景気だったこと。
政治家などが貧しい人たちを軽んじる態度をとってきたため国民に分断された部分があったこと。
EUに入ったことでイギリスだけで政治的な決定ができなくなったことに対する反発。
そういったいろいろな要因がEU離脱につながったとのこと。
ブレイディさんは知人や友人に「どうして離脱(残留)に投票したの?」とインタビューしました。
インタビューされた人たちがそれぞれの理由とか思いを語るんだけど、彼らの話は明らかに日本人とは違う文化や価値観を前提にしていて面白かった。
文化や価値観が違うのはとうぜんなんだけど具体的な違いに触れることってあまりないじゃないですか。
イギリスはこんな文化なのかっていう驚きと発見がありました。
労働者階級の人たちの政治的な考え方の傾向や歴史についても書いてありました。特に歴史に関しては詳しく書いています。
面白かったです。今までイギリスの近代史について調べたことはなかったので新鮮でした。
この本を読んでイギリスのEU離脱に対するイメージが変わりました。